体験をつなぐ

 東日本大震災の時、知人を探して石巻の避難所となっていた中学校に行きました。地震から2週間後のことです。飼っていた犬と家は津波で大きな被害を受けましたが、知人は元気でした。東北で初めての骨髄バンクを立ち上げた友人です。行動力があって誠実な方です。差し入れとして長靴やスニーカー、防寒着を買えるだけ買って車に積み込みました。パンと卵が不足していると聞いて、甘いお菓子と共に持っていきました。

 避難所の中学校では各教室が避難所となっており、一部屋に20人ほどが入っていました。部屋のリーダーはもちろん友人でした。避難所から自宅へ片付けに行ってる間に、尋ね人が来ても対応できるようにと、行先と予定を書いておくノートを作ったり、差し入れを多く受け取る人と、そうでない人たちが、お互いに気を使わないように、いただいたもので分けることができるものは教室の真ん中において、みんなで分け合っていました。友人は「私たちの日本ですから、2~3日もすれば、援助が行き届き、食べ物や水は配給される」と思っていたそうです。2週間目の避難所では1つのおにぎりを2人で分けるところもあったそうです。

 阪神淡路大震災から30年です。繰り返される大きな災害から、力強く立ち上がり、助け合う文化が昔からあります。1人ひとりの思いと体験をつないで、いつか来るかもしれない災害に備えなければなりません。聖ヨゼフ学園では備蓄品はもちろん、非常時に備えての訓練も怠ることなく準備しております。昨日もDパターンの避難訓練でした。児童の皆さんはいつものように真剣に取り組んでいました。ご家庭でも、災害時の決まり事を話し合っておきましょう。

2025年1月17日(金) 校長  清水勝幸


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