奇跡ではなく(待降節のお話6)

 昨日、マザー・テレサの言葉を紹介しましたが、やはり同じころ強く影響を受けた方に、作家の遠藤周作さんがいます。カトリックの洗礼を受け、多くのキリスト教文学を著された方です。

 イエスは人間にとって一番辛いものは貧しさや病気ではなく、それら貧しさや病気が生む孤独と絶望の方だと知っておられたのである。  ~中略~  だがイエスがこれら不幸な人々に見つけた最大の不幸は、彼等を愛する者がいないことだった。彼らの不幸の中核には愛してもらえぬみじめな孤独感と絶望が何時もどす黒く巣くっていた。必要なのは「愛」であって病気を治す「奇跡」ではなかった。人間は永遠の同伴者を必要としていることをイエスは知っておられた。自分の悲しみや苦しみを分かち合い、共に涙を流してくれる母のような同伴者を必要としている。(「イエスの生涯」より)

 人間が本来持っている愛によって、戦争による暴力や残虐な事件がなくなる奇跡を望みます。と同時に、身近な隣人に関心と感謝とお祈りを捧げることができますように。また、児童の皆さん、保護者の皆様、先生方、そして世界の人々が神様の愛に包まれて、穏やかな日々の中で祈りと感謝のクリスマスを迎えることができますように。

2024年12月10日(火)  校長  清水勝幸


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