「センス・オブ・ワンダー」!(待降節のお話2)

 今朝のニュースで、「世界に影響を与えた女性」として2人の日本人が話題となっていました。そういうニュースに接すると、25年ほど前に読んだ一冊の本を思い出します。アメリカ人作家レイチェル・カーソン、海洋生物学者でもあり、アメリカのベストセラー作家でもあった彼女の著作「沈黙の春」は、環境汚染、環境破壊の実態を世界中に告発した本であり、当時のJ.Fケネディー大統領をも動かして、アメリカでの農薬等を規制する法律を制定させました。後に日本国内においても環境庁が創設された。1999年、雑誌TIME、「20世紀の偉大な知性」で、唯一の女性として選ばれました。

 そのレイチェル・カーソンが癌の病と闘いながら書いた本が「センス・オブ・ワンダー」。姪の息子であるロジャーとの小さな冒険(自然界への探検)を通して、本来幼い子供たちが持っている「人間を超えた存在」を認識し、おそれ、驚嘆する感性を見事に著しています。私が小学校の頃、学校は多くの知識を身に着けることが中心となっていました。確かに学校で多くの知識を得ることは大切なことです。しかし、どんなに多くの知識を得たとしても、「感じる」ことができなければ、それはとても虚しい。驚きに満ちた輝かしい神秘の世界を、本来持ち得る純粋な感性で「感じる」ことが大切なのです。

 美しい写真と短く明瞭な文章で書かれているこの本を読んでいると、ドキッとさせられることがあります。私たち教師は、児童たちに豊かな感性があることを確信させ、それを延ばすことに力を注ごうとします。しかし、教師自らの感性、特に神様から与えられた無垢で温かい感性を忘れてしまっていることが多いような気がします。日常生活の中にある神の働きを、純粋な気持ちで感じ取るセンスを磨かなければなりません、とあらためて思う。

2024年12月4日(水)  校長  清水勝幸

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新潮社 「センス・オブ・ワンダー」上遠恵子訳


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