70分の60年

 私が聖ヨゼフ学園に奉職したころ、校庭の池の横に大きなジャングルジムがありました。小学生が遊ぶには枠の幅が広く、低学年の児童が落ちそうになっているのを見た記憶があります。安全のためなのかずいぶん前に撤去されました。そして、そのジャングルジムのすぐ横に、八重桜の大木が植えられておりました。お昼休みには桜の木の下で、小学生たちが輪になって楽しそうにお弁当を食べていました。

 記憶が正しければ、2012年の初夏、60年近い寿命を全うし、その桜の木は倒れてしまいました。安全のため、その日のうちに植木屋さんがきて、チェーンソーで輪切りにされ処分されました。学園の歴史を知っている大切な桜の木です。お願いして切り分けた桜の木をいくつかもらい受けました。一番大きな切り株は、今も正面玄関の入り口で、色とりどりの花を載せている台となっています。そしてもう一つ、長らく中高の校長室においてありましたが、誰も引き取る人もなく、我が家の倉庫に眠っていました。コロナ禍の2年ほど前、日曜大工のまねごとで、家庭用のサンダー(電気やすり)を買って磨いたのですが、あまりうまくいきませんでした。三年ぶりに私と学園に戻った切り株を、用務のYさんが磨きなおし、ニスまで塗ってくれました。切り口の赤い年輪を楽しむか、マリア様かヨゼフ様のご像を飾るか、私の妄想が止まらない。

2024年5月28日(火) 校長 清水勝幸

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