五つのパンと二匹の魚

ルカによる福音書9章10節から始まる「五千人に食べ物を与える」出来事です。イエスの話を聞こうと多くの群衆がついてきた。日が傾きかけたので、食べ物がないことに気づいた弟子が「群衆を解散させてください」とイエスに進言します。これに対してイエスは「あなた方が彼らに食べ物を与えなさい」と言います。そして、そこにあった五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで、それらのために賛美の祈りを唱え、裂いて弟子たちに渡しては群衆に配らせた。すべての人が食べて満腹した。そして残ったパンの屑を集めると、12籠もあった。

ちょっと乱暴ですが、いま日本国内で騒がれている、マスク不足やトイレットペーパー等の紙製品不足も、この聖書の精神で取り組むと良いのではないかと思います。実際にイエスの奇跡がどのようにして起こったのかは、聖書には書かれていません。五千人を超える人が満腹したとしか書かれていないのです。東日本大震災の直後、仙台の教会でこの聖書の箇所が朗読されました。その時の司式司祭であった船山亨神父様は、「個人的な解釈です」と前置きしながら、「イエスは祝福でパンや魚を増やしたのではありません。イエスの行いを通して、集まった群衆がそれぞれ持っていたものを積極的に差し出し、お互いに分かち合ったのです。パンや魚が増えることが奇跡ではなく、人々の心に「分かち合う、助け合う」という奇跡が起こったのです」とお話しくださいました。こんな時こそ、私たちは分け合い、助け合わなければなりません。新型コロナウイルスの最も怖い側面は、人々がいらだち、殺伐としてくることです。ほんの少しでも、心にゆとりを持ちたいものです。

2020年3月5日(木)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸

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五島列島の大瀬崎灯台からの一枚。小さいころから、この光を見るたびに神様がいると思ってきました。

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