感謝のうちに

 国連難民高等弁務官を10年に渡って務められた、緒方貞子さんがお亡くなりになりました。1991年からの10年間、世界各地の難民のために、防弾チョッキとヘルメットに身を包んで飛び回る姿はとても印象的でした。高等弁務官としての最初の仕事に、クルド難民のことがあげられます。他国に逃れた難民が対象であった援助を、国内にとどまるクルド人にも広げていったことは、とても大きな出来事でした。ちなみに私の住んでいる埼玉県蕨市とJR蕨駅を乗り降りする川口市には、2000人を超えるクルドの人が居住しています。政治的な理由から、日本では難民認定されておりませんが、日本に溶け込もうと一生懸命に頑張っている姿を毎日のように目にします。緒方さんは、難民を助けるという視点ではなく、政治的宗教的な理由などで自国に住めなくなった人々への尊厳を忘れてはいけないと繰り返し述べていました。聖ヨゼフ学園の卒業生で、難民の方々の問題解決のために国際的に活動している方が何人もおります。日本にいる私たちも、緒方さんのご冥福を祈るだけでなく、何か行動に移さなければなりません。

2019年10月30日(水)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸

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