究極の選択
カトリックの洗礼を受けている私にとって、一周忌を迎える菩提寺への対応はとても難しいものです。あたりまえだと思われるお寺でのしきたりや、お墓参りの慣例など、不慣れなことばかり。亡くなる直前にカトリックの洗礼を受けた母ですが、お寺からも戒名をいただきました。「私の神様はとても懐が深くて、究極は同じだと思っている」と豪語していた母でしたが、天国と極楽、どちらに行くか迷っているかもしれません。ところで菩提寺の住職は、浄土宗の古刹で修業した博学のお坊さん。開祖の法然の教えは、とてもキリスト教と似ていると以前から法話の度に語ってくれます。その後継ぎはもっと博学です。私の記憶に間違いなければ、国際基督教大学を卒業してハーバード大学に進まれたクリスチャンでした。その彼が留学先で出会った運命の人がお寺の一人娘。究極の選択です。彼はお寺を継ぐために仏門に入ることを選ばれました。様々な意見はあるかもしれませんが、私は真面目な彼が大好きです。お寺の賽銭箱の横に、ユニセフの募金箱が置かれるようになったのも、その頃からです。私たちにとって宗教って何でしょうか。クリスマスの準備をしながら考えます。
2018年12月12日(水)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸