ゆとり
ゆとり教育、ゆとり世代などと使われることが多く、本来は「余裕があり、窮屈でない状態や物事のこと」であるのに、教育の世界では決して肯定的には扱われていないような気がします。昨日の台風に比べるとずいぶんとスケールの小さな話になりますが、建てて30年近くになる我が家は、今月から改修工事のために足場が組まれ、シートに覆われています。前日、工事会社から、台風に備えるために伺いますと連絡がありました。暴風に対応するためにシートをはがし、足場に括り付けるのだと勝手に思っていました。しかし帰宅してみると、まったく何も変わっていません。朝と同じように家全体がシートに囲まれています。妻に「何んにも変わっていないのでは?」と聞いてみると、工事会社曰く、「シートのひもを緩めることと、風の流れを逃がす部分だけ、シートをたたんでいます。」とのこと。よく見ると、ぴんと張られていたシートが、ゆとりをもって、しかし、しっかりと結ばれています。どうなることかと不安の中、一晩過ごしました。建物全体が揺れている感覚と、足場のきしむ音で寝不足になりましたが、無事に朝を迎えることができました。さすがプロの仕事。長年の経験からの対応だったのだと感心しました。風を上手に受け止めながら逃がす道を作る、私たちの生活の中にも必要なことかもしれません。
2018年9月5日(水)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸
自然の力は想像を越えますが、職人さんたちの知恵と経験もすごい。(イメージ映像です)