蛇!
私にとって聖書に出てくる蛇のイメージは、創世記における天地創造のアダムとイヴを誘惑するおどろおどろしいものでした。しかし、大学時代にボランティアで通っていた病院のシンボルマークは、杖にからみついた蛇。それだけではありません。海外では、世界保健機関(WHO)や救急車等のシンボルマークとして蛇が使われています。初めて見た時は驚きでした。その起源にはギリシャ神話の「アスクレピオスの杖」と、今日のミサの第一朗読、民数記21章4~9節の物語の2つの説が有力です。エジプトで奴隷とされていたイスラエルの民は、モーセに導かれて脱出(出エジプト)します。しかし、約束の地カナンにたどり着くまで40年もかかりました。そのためイスラエルの民の喜びは、やがて不満の声となって神に向けられます。怒った神は人々に蛇を送り多くの人が亡くなります。そこでモーセは、神に祈り、神の言葉に従って青銅で蛇を造り、旗竿の先に掲げました。「蛇が人をかんでも、その人が青銅の蛇を仰ぐと、命を得た。」とあります。死んだ者をも生き返らせる力を持っていたギリシア神話の神と、旧約聖書に出てくるイスラエルの民の信仰を示す蛇、どちらにしても、日本で育った私には、難しいシンボルです。
2017年9月14日(木)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸
世界保健機関のシンボルマーク。
「アスクレピオスの杖」
高校2年生の教室に出没した蛇! 正確には長崎の蛇踊用の蛇でした。