導かれて
昨日、静岡県御殿場市へ行ってきました。大学時代に所属していた「手話サークル」の顧問、ジョン・ディーリー神父様のお墓参りをするために。神父様がALSを発病され、1年半に及ぶ闘病生活の最後の地として過ごされた、神山復生病院を訪ねたいと思っていたからです。この病院は、日本で最も古いハンセン病の施設として、さまざまな歴史を優しく包み込んできた病院です。現在は一般病棟とホスピス病棟を持った地域に根差したカトリックの病院として活動しています。遠藤周作さんの「私が棄てた女」のモデルとされた井深八重さんが長年勤められた病院としても有名です。豊かな緑の中に静かにたたずむ病院の向こうには、大きな大きな富士山が美しい姿を見せてくれていました。庭を散歩しながら、亡くなった神父様も車いすで散歩され、この景色を見たのかもしれないと思うと、涙をこらえるのが大変でした。お墓の場所を教えて下さった看護師さんは、偶然にも神父様を病棟でお世話して下さった方でした。「最後はとても痩せられましたが、いろいろなことをいっぱい話してくれました。神父様を知ってる方とお会いできて嬉しいです。」と言ってくれました。こんなに優しい方にお世話になったのかと、私の方が嬉しくなりました。お墓は井深八重さんのすぐ隣に、病院で亡くなられた数百人の方と同じ墓石に名前が刻まれていました。最後まで聴覚障害の方と活動され、大学の英語学科で何十年にもわたって教鞭をとられ、引退した後は東京拘置所で外国人のための聴罪師として活動された神父様です。ハンセン病の重い十字架を担い、生涯を過ごされた方々のために、天国で神様のお話をするためにこの病院に導かれてきたのかもしれません。神様の計画はとても不思議ですね。
2017年5月22日(月)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸
病院の横から見た富士山。見守られている感じです。
入り口には聖堂があり、遠くからもみることができました。
井深八重さんの人生も、私たちに多くのことを示してくれます。