ゼノ神父の代役!

 戦後の荒廃した日本で、大活躍した一人の修道士がいました。ゼノ・ゼブロフスキーさんは、ポーランド出身で、アウシュビッツの聖者と呼ばれる聖コルベ神父様と共に来日しました。彼は、日本の人々からいつの間にかゼノ神父と呼ばれるようになりました。上野や浅草の貧しい人々への限りない奉仕活動を50年近くつづけた方です。私が大学2年生の時、亀有にある保育園の園長先生(シスター)に呼ばれました。保育園のクリスマス会でサンタクロースの役をしてほしいと頼まれたのです。それまではゼノさんが長い間引き受けてくれていましたが高齢なので代わってほしいというのです。20歳の私がゼノさんの代役です。恐れ多いと一度はお断りしましたが、どうしてもというので引き受けることになりました。赤い一般的なサンタクロースではなく、聖ニコラオ司教の祭服を着て、あごひげ、口ひげ、眉にも白いものをつけて変装しました。かわいい保育園生に一人ひとり握手をしながらプレゼントを渡し、手を振って退室するという簡単なものでした。無事にすべてが終わり、そりを引いて舞台そでに下がろうとしたその時、クリップ式の口髭が落ちてしまいました。「サンタさんのおひげが落ちたー!」子供たちは大騒ぎです。心配そうに首をかしげる子、嬉しそうにはしゃいでステージによじ登ろうとする子、泣きだす子もいました。泣きたいのはこちらです。ほぼパニック状態でした。ベテランの園長先生の柔軟なサポート、鮮明に憶えています。「サンタさんは2千年も生きているから大丈夫。又すぐ生えてくるよ!」懐かしくも申し訳ない、若いころの失敗談です。

2016年12月7日(水)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸

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