徴税人ザアカイ
昨日のミサにおける福音書は「徴税人ザアカイ」の話でした。ローマのために税金を徴収する彼らは、ユダヤの人々から嫌われ、罪びととされていました。規定以上に、しかも情け容赦なく取り立てていたこともその理由の一つです。その徴税人の頭であったザアカイは背が低かった。(わざわざ背が低かったと書くからには何か意図的なものも感じます。)彼は、救い主と言われ、話題の人であったイエスを一目見たいと頑張りますが、群衆にさえぎられて見ることができません。先回りしてイチジク桑の木に登りイエスの到着を待ちました。やがてその場に着いたイエスは、木の上にいるザアカイに声を掛け「急いで降りてきなさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい」と言います。当然人々は、罪びとの家に泊まりたいと言ったイエスに疑問の目を向けました。一方、声を掛けられたザアカイは喜んでイエスを迎え、「主よ、わたしは財産の半分を貧しい人々に施します。また、誰かから何かだまし取っていたらそれを4倍にして返します。」と応えました。更にイエスは言われました。「今日、救いがこの家に訪れた。」 ザアカイは、徴税人の頭ですから、ある程度地位のある人です。そんな人が木によじ登ってでも救い主を見たいと願いました。今の感覚でもそうですが、当時でも、ある程度の年齢を重ね、地位のある人がとる行動とは思えません。必死だったのでしょう。その思いをイエス様は感じ取り、声を掛けられたのです。「人の子は、失われたものを捜して救うために来たのである。」ザアカイが、背が低いからではありませんが、どこか憎めない、回心の物語です。
2016年10月31日(月)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸
(アトリエTrinity)教会などで使用できるフリーの教材サイトより