長崎の鐘

 「如己堂」。たった2畳の小さな家です。長崎は浦上の丘、ちょうど浦上天主堂が正面に見えるところに、教会の人たちが協力して建ててくれたそうです。長崎大学医学部の永井隆博士と長男誠一(まこと)さん、長女芽乃(かやの)さんが3人で過ごした家です。永井博士が「長崎の鐘」を執筆したのもこの小さな家です。長崎に原子爆弾が投下されて71年が過ぎました。聖ヨゼフ学園高等学校の修学旅行では、長崎で被爆者の方のお話を聞く平和学習を長い間続けてまいりました。核爆弾の恐ろしさを伝えていくには、できるだけ直接話を聞くということが大切だからです。毎年のことですが、生徒達は真剣に話を聞きます。これからも原爆資料館見学と、被爆者による講話はできる限り続けていきたいと思います。ただ、被爆された方々の高齢化の問題は深刻です。どのように語り継ぎ、平和の尊さを伝えていくか、話を伺う私たちも真剣に考えていかなければなりません。

 11時2分、校内にいる皆で黙とうを捧げました。長崎では教会の鐘だけでなく、お寺の梵鐘も悲しみの音を響かせていると思います。戦争中は様々な理由で鐘を突くこともできない時もあったと聞きます。平和のシンボルとして「長崎の鐘」が日々の生活の中で鳴り続けることができますように。

2016年8月9日(火)聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸

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己の如く人を愛せよ(マルコ福音書12章31節)から名付けた「如己堂」 

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