十字架を背負って生きる
3月20日は「枝の主日」でした。イエス様がロバに乗ってエルサレムに入城した時のことを記念した主日です。救い主を迎える群衆たちは着ていた上着や、近くに生えていた木の枝を道に敷き、まるで王様を迎えるようにとても興奮していたと記されています。しかし、イエス様は権力者としての王ではなく、救い主としてエルサレムに入られました。そして、そのことを伝えるために、馬ではなくロバを選ばれたのかもしれません。そういえば、イエスさまの誕生の時、マリア様をベトレヘムまで乗せたのもロバでした。ロバは馬に比べて小さく、従順で、身近な、そして人々にとって、とても大切な動物だったようです。ただ、日本ではあまり馴染みのない動物かもしれません。一年ほど前に、大学時代の恩師で、手話サークルの顧問をして下さった神父様を訪ねた時のことです。故郷のアイルランドへの巡礼旅行で、小雨の降る日、バスの前に突然ロバが現われたそうです。神父様はバスを降りシャッターを切りました。まもなくロバはスッといなくなったそうです。「とても不思議な数分間だった」と静かに話してくれました。続けて神父様は「ロバは背中に十字架を背負って生きているんだよ。私たちもロバのように神様に与えられた十字架を背負っているんだ。だから私はロバが大好きなんだ。」と。帰宅して図鑑で調べると、確かにほとんどのロバの背中には、十字のような文様がはっきりと印されています。昨年の夏前に、神父様は神様のもとに召されました。障害を持って生きる人と共に歩んだ75年でした。
2016年3月22日 聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸
バスの前を歩くロバ(撮影D神父様)アイルランドにて
上から見るとこんな感じです。(フリーページより)