冬のバラ
我が家のベランダに小さな五島椿の鉢植えがあります。知人から数年前にいただきました。今年もきれいな花をつけてくれました。五島列島の椿は、伊豆大島と並んで愛好家が多く、中でも「玉之浦」という品種は人気の高い椿なのだそうです。
キリシタンへの弾圧が厳しくなった江戸時代初期、長崎から多くの隠れキリシタンが五島に移住しました。250年近い潜伏が終わり、明治も中頃になって初めて教会を建てることが許されました。ロザリオなどでもわかるように、ヨーロッパにおけるキリスト教のモチーフは、バラの花や百合が多く使われます。しかし、明治時代の長崎の離島にはバラの花はなかったのでしょう。多くの教会はフランス語で「冬の薔薇」とも言われる(フランス語に詳しい神父様からの受け売りです)椿の花を大胆に使った内装が多く見られます。ちなみにこの「玉之浦」は巡礼地として五島列島、福江島にあるルルドでも有名な町の名前でもあります。
2016年2月22日 聖ヨゼフ学園中学・高等学校 校長 清水勝幸
五島椿「玉之浦」
五島列島 中ノ浦教会の内陣